盛岡市H宅 2011/7月着工   築1年

せっかく、いい断熱材を使っても効果が出ない建物の典型的なパターンです。

 

サッシ、玄関は住環境的に好ましくない熱伝導性の高い物を使用。

 

新築したは良いが・・・、の典型的な例と言えます。

 

外観※加工済
外観※加工済

築一年での改修工事となりました。

 

既存データ 

延床面積 約28坪  オール電化住宅+蓄熱暖房機使用

断熱壁面 ネオマフォーム 50mm

床断熱  ネオマフォーム 50mm

断熱天井 GW200mm 吹き込み+気密シート

玄関   アルミ扉

サッシ  アルプラサッシ+ペアガラス

気密測定結果  測定不能 圧力かからず

  施主様から

深夜電力で、蓄熱・エコキュート使用。

蓄熱が半日で放熱してしまう。浴槽追い焚きで、     エコキュートのお湯が足りない。

              月の電気代が冬期3〜4万掛かる。

              何より外の暑さ寒さの影響を受け過ぎてる。

              10月位から暖房を使用しないと朝晩は寒い

底冷えがすごい。新しい家なのに何でこんなに寒いのか?

 

 

以上の相談を受け調査・改善方法を探る
ウレタン系では最強?のネオマ使用で何故こんな事に?

調査

竣工図面より断熱・気密不具合部分を予測

床下・天井裏目視調査

温度撮りにて 一週間の屋内温度・湿度調査

熱カメラによる調査

既存
既存
熱カメラ
熱カメラ

改善案

調査結果

 

既存住宅の施工上の不具合は下記のとおり

 

〇床・壁・天井の断熱材が一体化していない。

 各所に不連続部分が多々見られる。

〇土台部分パッキンが通気パッキン使用。

 断熱不連続と相まって気流止が一切ない状態である。外気が断熱層より内側に入っ て来ているため、断熱材の効果がない。

 熱カメラからも熱気の漏れが確認できる

〇同上の施工で、浴室周りは基礎断熱をしていない。

断熱貫通部ウレタン補修等一切無し

〇天井気密シートが連結していない。

 気流止が無いので流動空気にGWがさらされ、GWの効果が出ていない。

〇各所ダウンライトから外気流入 ※気流止がないため。

〇浴室上・玄関上 下屋部分(1階に屋根がある部分)が無断熱になっていた。

〇ベランダ天井裏・ベランダ床下(1階天井裏)無断熱

〇 etc・・・。その他は、今回の工事と関係ない部分なので割愛

 

問題となったのは各所、気流止・断熱材の不連続(断熱欠損)

 

何のために断熱材を使うのか理解していないとしか思えない工事であった。

 

 

先ず問題になったのは資金面

ローンも始まったばかりなので、正直お金をかける余裕はない。

 

改善できる範囲でとなるが、どこまで行けるのか?

盛岡Ⅱ地域基準は最低限でもクリアしてあげたい。

 

写真を確認すると、壁面断熱についてはそこそこの精度になっている様子

解体部分を最低限にし、高性能化を目指す。

玄関ドア・サッシ・玄関土間に関しては費用の面から、あきらめることになる。


工事内容 

2階天井GW吹込み→解体 天井断熱なのに何故か外貼断熱は2階桁まで伸びていたので屋根断熱に変更

 

下屋部分・浴室天井裏・ベランダ下(1階天井部分解体)

既存垂木 通気くん+気密テープ GW100手詰

既存垂木下 既存垂木に格子状に間柱105+GW100手詰 +気密シート

 

1階床

床断熱撤去→断熱材再利用基礎断熱に変更

建物外周部通気パッキン部分ウレタン修繕+基礎断熱・壁断熱連結

 

1階床・各所建具 スリット加工

※既存は一応床面から上が屋内部分。床下は室外としている

 基礎断熱に変更後は、既存床下を室内と考えるため

 通気確保のため床面スリット設置

 

壁面は基本的に手をかけない

 

 

 

改修参考図 ※画像に手を加えてあります

改善工事

2階天井 ベランダ上ウレタン吹付

ベランダ下部分断熱・気密工事

改善後

隙間相当面積

測定不能→1.87c㎡/㎡ ギリギリですが何とかクリア

 

天井・床下修繕のみの工事

換気装置が極所換気×3台 

であることを加味すれば、建物自体はもっと少なくなっているでしょう。

 

 

施主様の感想

体感的にも不快な流動空気も無く、底冷え感も解消。

 

浴槽の追い焚きの必要は無くなった。以前は入りながら追い焚きしていたんですが・・・。

 

サッシは既存のままなので、サッシ付近は少し寒い。ただ、この工事をしなければ気付かなかったと思う。(サッシ面にホームセンターで売っている反射フィルム貼付けを検討中とのこと)

 

蓄熱・エコキュートーの熱切れはもちろんありません。

電気代は8000〜9000円で済んでいる。


とのことでした。

 

既存建物の問題点・修繕詳細・調査報告書

 

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